ひかる玉

南富良野町には6つの地区があり、その一つに金山地区があります。
その名が示す通り、金が採れる場所として一獲千金を狙う人々が鼻息荒くうごめいた歴史があり、その代表的な場所として十梨別川があります。明治の半ば頃、十梨別川で「ひかる玉」を手に入れた!との怪しげで魅力的な噂が流れ、その噂を聞きつけたとある一団が艱難辛苦のうえ十梨別にたどり着き、ついに夢にまで見た「ひかる玉」を手中にし、そして!・・・!?と、ドラマ以上のドラマが繰り広げられたようです。

また、十梨別川流域は森林資源も豊富で当時の北海道庁の拓殖政策のもと想像を絶するスピードで巨木の森が切り開かれ製紙業など国内産業の発展に寄与しました。「南富良野村史」によると「十梨別川流域の原始林は明治年間にほとんど伐採されれていて、大正になってからは全く一面の熊笹の原であった」とあります。切株の大きさも「五尺位の株もあった」とあるので、1尺が30センチとすると1m50cmほどの切株があったことになります。そんな大きな切株だったら気持ちよく昼寝ができそうです。

当時の「原始林」の景色にも心奪われる魅力がありそうですが、現在の十梨別渓谷の美しさにも目を見張るものがあります。大正時代の「一面の熊笹の原」の頃から数えると、およそ100年ほどの時の流れが創りあげた十梨別の現在の景観。きっとそこにもドラマ以上のドラマがあるのでしょう。そして、これからも金山の歴史がここ十梨別に積み重なっていくことでしょう。